音声言語医学
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パラトグラフィによる構音の評価
今井 智子和久本 雅彦丹生 かず代
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2000 年 41 巻 2 号 p. 159-169

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抄録

パラトグラフィは舌と口蓋の接触様式を観察する方法で, 構音障害, 特に歪み音の構音動態の観察に有用である.エレクトロパラトグラフィ (以下EPG) は舌と口蓋の接触を微小電流の変化として検出する方法で, 従来の硬口蓋パラトグラフィの他にこれまで軟口蓋パラトグラフィ, 歯冠パラトグラフィ, 3次元パラトグラフィ, 圧センサ付きパラトグラフィが開発され, 臨床応用されている.
構音障害の認められない健常人14名 (男性6例, 女性8例, 21~29歳, 平均25.1歳) に対して, 被検音 [ta] [sa] [〓a] を選択し, EPGによる構音動態の検査を行った.その結果, 健常人においてもEPGパタンにはバリエーションがあり, 特に [a〓a] 発音時で多様性が認められることが明らかとなった.このように歯列・咬合に異常のない健常人に認められた多様性には口蓋形態や舌運動などの要因が関連していると思われる.

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