音声言語医学
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痙攣性発声 (音声) 障害 (spasmodic dysphonia) に対する甲状軟骨形成術II型
一色 信彦
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2001 年 42 巻 4 号 p. 362-368

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抄録

痙攣性発声障害に対し声門を開大させる甲状軟骨形成術II型を11例に行い1例を除ききわめて良好な結果が得られた.本症の特徴は独特な音声 (持続的圧迫努力性音声か継続性努力性音声) と喉頭の過閉鎖声帯過内転にある.手術の原理は甲状軟骨を正中で, 軟骨下の軟部組織は可及的に損傷しないようにして, 切断, 左右に広げ声が楽に出るように軟骨断端の分離巾をきめる.通常3~4mmである.1例の不成功例は他のジストニアの合併のため軟骨が異常肥厚しており開大が不可能であった.改善全例で, 術中の音声の変化, 発声しやすさの変化から本手術法が合理的であることが分かった.軟骨開大巾の維持固定には主にシリコンブロックを用いたが, 正確を要する手技で成功を大きく左右する.術後瘢痕拘縮などの影響を考慮して, 術中は過矯正ぎみが望ましい.本法は声帯に触らないので音声悪化の可能性はなく, 正確を要するが安全, 術中調節可能, 再手術可能の手法である.

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