音声言語医学
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超音波前額断規格撮影法による側音化構音の観察
加藤 正子大塚 義顕向井 美恵今富 摂子木村 智江出世 富久子
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2002 年 43 巻 1 号 p. 30-39

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抄録

各被験者の口腔模型と生体の計測値から探触子の角度を決定することにより, 舌背の断面部位が同定できる超音波前額断規格撮影法を用いて, 側音化構音の舌運動を観察した.M/Bモードで表示された前額断面の舌正中部と左右舌側縁最大豊隆部の舌背の動きを分析した.結果: 1.正常構音の場合, 舌中央部は陥凹し, 左右の舌側縁は対称的な動きを示し, 中央部の動きが最も大きくかっ早かった.2.側音化構音時, Bモード上では呼気流出側の舌側縁が活発に上下運動する動きがみられた.Mモード上でも中央部と呼気非流出側はほとんど舌の動きは認められなかったが, 呼気流出側は舌の動きが大きかった.これらの所見は, 描出断面部位が下顎第2小臼歯遠心面と下顎第2大臼歯遠心面の舌背面にみられた.3.訓練後は正常構音と同様の舌形態と舌運動を示した.
以上の結果から, 側音化構音は大臼歯と舌側縁で音がつくられ, 呼気は歯列の頬側部を通り口腔前庭に流出すると考えられる.

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© 日本音声言語医学会
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