音声言語医学
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人間ドックを利用した公立学校教師の音声障害の現状調査
吉田 操小川 真渡邉 建喜井 正士杉山 視夫佐々木 良二渡邊 雄介
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2004 年 45 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

学校教師における嗄声の現状について調査するため, 3年間に公立学校共済組合直営の病院の人間ドックを利用した公立学校教師利用者11413名について検討を行った.アンケート調査により, 全公立学校教師利用者の924人 (8.5%) が「声がかすれる」という訴えを有することが判明した.さらにそのなかで, 実際に耳鼻咽喉科を受診し, その結果音声障害と診断されたのは180人であった.その音声障害疾患の内訳は, 多い順で, 声帯結節が85人 (46%) , muscle tension dysphonia (以下MTD) は34人 (20%) , 慢性声帯炎21人 (11%) , 声帯ポリープ8人 (4.4%) であり, 前2疾患について検討したところ, 声帯結節群のほとんどが女性で, 一方MTDの群においては男性が優位であり, 明確な性差が認められた.両疾患の年齢分布とも母集団とほぼ同様に50歳代をピークとしていた.喫煙との関連についての検討の結果, 男性の声帯結節の群のみでそのほとんどが喫煙者で構成されており, 喫煙と男性教師における声帯結節の形成の問に関連があることが示唆された.以上の結果は, 今後の学校教師に対する音声疾患の治療のみでなくその予防のために意義のある情報と考えられる.

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© 日本音声言語医学会
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