音声言語医学
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構音指導を行った青年期聴覚障害者の発話明瞭度の変化
石原 保志
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2004 年 45 巻 4 号 p. 283-289

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抄録

発話指導の一環として構音指導を行った青年期聴覚障害者の発話明瞭度の変化を検証した.指導を受けた5名の聴覚障害学生の指導前後の単音節の発話明瞭度および日常生活文リストを刺激文とした文の発話明瞭度を評価した.この結果, 対象者のうち4名について, 文の発話明瞭度が指導前と比較して向上していることが明らかにされ, 青年期においても構音指導を通して発話の明瞭度向上の可能性があることが示された.また指導前後の単音節の発話明瞭度と文の発話明瞭度との間には相関が認められ, 単音節レベルの構音の改善が発話明瞭度の向上に寄与したことが推測された.一方, 文の発話明瞭度に関して, 聴覚障害者との対話に慣れた者の評価はそうでない者の評価を上回っていた.このことから, 現実のコミュニケーション場面への指導効果の反映の有無や程度は, 対話する相手の属性により異なるであろうことが推察された.

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