有病者歯科医療
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原著
周術期口腔機能管理保険導入前後における血液培養検体中の口腔細菌検出率の変化
宮下 みどり上條 留美宜保 明希子吉村 伸彦栗田 浩
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2015 年 24 巻 1 号 p. 2-8

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抄録

 2012年4月よりがんや循環器疾患,臓器移植患者等に対する周術期口腔機能管理が健康保険の適応となり,口腔管理をうける患者数の増加とともに,口腔の健康に対する関心も高まりつつある.口腔管理により口腔細菌が関与する全身疾患が減少することが期待される.この予備研究の目的は,周術期口腔機能管理の保険導入により口腔細菌が原因となる菌血症が減少したか否かを探ることである.
 2007〜2013年度までの期間の血液培養検査結果の調査を行った.この期間の血液培養検査における細菌検出率は,12.6%〜17.0%であった.周術期口腔機能管理保険導入以前(2007〜2011年まで)は,検出細菌中で口腔細菌の占める割合は5.7%から8.7%で平均7.1±1.2%(95%信頼区間5.69〜8.59%)であったが,周術期口腔機能管理保険導入後には4.1%(2012年),2.6%(2013年)と減少していた.口腔細菌検出率に関して,2007〜2011年と2012〜2013年の間で統計学的に有意な差を認めた.加えて,保険導入後の周術期口腔機能管理目的に受診した患者数も増加していた.
 これらの結果より,周術期口腔機能管理の保険導入は口腔健康管理に良い影響を及ぼし,結果的に口腔細菌による全身感染症の減少がもたらされた可能性が示唆された.

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© 2015 一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
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