抄録
北海道から九州までの33カ所の一般歯科診療所を特定の1か月間に受診した患者についてその全身疾患および全身状態について調査した。対象は828名で男性が352名, 女性が476名でこれらの患者に対して行った問診票の33項目について分析した。年齢は4歳から100歳までで平均54.2歳であり, 60歳代が最も多かった。主訴は歯痛や義歯に関することがほとんどであった。435名が何らかの全身疾患の既往があり, 187名は治療中であった。全身疾患の中では高血圧症が最も多く20%で, 次いで胃腸病, 花粉症, 心臓病, 喘息, 肝臓病, 呼吸器疾患, 腎疾患, 血液疾患などであった。74名は頭痛, 発熱, かぜ, めまい, 動悸など全身的な異常を感じていた。317名が投薬を受けており, その内8名はワーファリンを3名はパナルジンを内服していた。122名が何らかのアレルギーを有していたが多くはアレルゲンが明らかでなかった。一般歯科診療所では高齢者が多く, また全身疾患を有している頻度が高いため, 安全に歯科診療を進めるためには術前に患者の全身状態を詳細に診査することがきわめて重要である。