歯科医師臨床研修複合型施設である熊本市立熊本市民病院および (医) 伊東歯科医院, 両施設における救急部門において, 臨床研修医に対する実地研修プログラムを実施した。設定した時間帯に受診した患者の実態と臨床研修医の対応を調査し, さらに臨床研修目標をどの程度達成できるか検討し, 以下の所見を得た。
1. 患者の平均年齢は, 病院46.3歳, 診療所28.7歳と年齢層に違いがみられた。
2. 主訴は, 病院では外因性によるもの約1/3, 内科的なものが約2/3であった。診療所では半数を超えるものが口腔外科的な訴えであった。
3. 傷病名は, 病院では重篤なものが多く, 約60%がそのまま入院となっている。診療所では疼痛を伴うものや緊急性を要するものが多かった。
4. 実施された検査は, 病院では各種全身検査が行われており, 検査の意義や評価について指導医から直接指導を得た。診療所では画像診断が主であるが自験ができていた。
5. 処置は, 病院においては基本的な救急処置に役立つものの経験ができた。診療所では緊急的歯科処置を習得することができた。
6. この研修を通じて, 卒後臨床研修の具体的目標の85項目中34項目 (40.0%) について習得する機会を得た。
以上の結果により, 本研修は臨床研修医のプライマリケア知識・技術の習得および全身状態への理解などにとり有意義であり, 臨床研修目標の達成にも寄与できるものであると考えている。
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