有病者歯科医療
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血液凝固第XII因子 (Hageman因子) 低下患者に対する顎変形症手術の経験
藤川 考豊田 潤時崎 洋鈴木 巌千葉 博茂
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2001 年 10 巻 2 号 p. 103-106

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抄録
才の女性に下顎枝矢状分割術を予定し, 術前検査を施行したところ, 血算および生化学検査に異常所見はなかったが, 血液凝固系検査でPTは正常で, APTTのみ43.2秒と延長していた. 手術を延期し精査したところ, 第XII因子が30%と低下しており, ヘテロ接合体の第XII因子欠乏症と診断した. 臨床的に出血傾向を示す可能性は低いと考え, 凝固因子補充療法は行わずに施術した. 術中の出血量は150ml, 術後創部に留置したドレーンからの廃液も2日間で65mlと特に出血傾向は認められなかった. ただし, 過凝固状態を惹起する可能性があり, 慎重な経過観察が必要と考えられた.
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