抄録
セファクロルにより誘発された重篤なアレルギーの1例を本稿において報告する. 患者は上顎骨周囲炎を有する61歳男性であり, 2001年8月13日に近歯科医院からの紹介により当科を初診した. 約1週間の抗生剤投薬により炎症が消退したため, 8月23日に原因歯の抜歯を施行した. 同日, 術後の感染予防のためにセファクロル250mgを内服したところ, 約2時間後から倦怠感および蕁麻疹が出現し, 3時間後に当科を再受診した. 患者は血圧低下と徐脈を伴う中等度のショック状態を呈していた. エピネフリン, ヒドロコルチゾン, 乳酸リンゲル液の投与によりショック状態より回復した. 患者は第6病日に退院した. セラァクロルに対する薬剤添加リンパ球刺激試験は陽性であった.