有病者歯科医療
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骨髄異形成症候群患者における抜歯の1例
住友 伸一郎大野 健二太田 貴久池田 昌弘高井 良招
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2005 年 14 巻 1 号 p. 31-35

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抄録
骨髄異形成症候群は各種末梢血の減少と骨髄幹細胞の異型性に特徴付けられる血液疾患である. 骨髄移植以外に効果的な治療法はなく, また, その治療は若年患者に限られ, 骨髄不全か白血病の継発に二分される予後はともに不良である.
患者は74歳の男性, 32〓の精査のために朝日大学付属病院歯科口腔外科に紹介来院した. 32〓は繰り返し増悪する根尖病巣をもち, 抜歯が最良の処置であると考えられた. 既往歴として, 骨髄異形成症候群と薬物アレルギーが認められ, 血液検査では汎血球減少 (WBC: 1,130/μl, RBC: 218×104/μl, Plt: 1.9×104/μl) の結果が得られた. 内科主治医の指示により, 周術期の出血と感染に注意を払った. 酸化セルロース綿の局所貼付と緊密な縫合により抜歯後1時間以内で止血した. 感染予防には, アレルギー症状を起こしていないテリスロマイシンを用い良好な結果を得た.
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