有病者歯科医療
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術前検査が契機となり自己免疫性肝炎に罹患した1例
矢郷 香森川 暁山田 学岡田 豊中川 種昭朝波 惣一郎
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2005 年 14 巻 2 号 p. 95-99

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抄録
自己免疫性肝炎 (autoimmune hepatitis: 以下AIHと略す) は, その発症に自己免疫機序が深くかかわることが推定されている慢性肝炎の一つである. AIHは, 中高年の女性に多く, 自己抗体の出現, 血清γ-グロブリン値の増加を伴い, 肝炎ウイルス, 薬物, アルコールによる肝障害を除外する.
今回われわれは, 下顎骨嚢胞の術前検査が契機となり自己免疫性肝炎の診断を得たまれな症例を経験したので報告する.
患者は18歳, 女性で下顎骨にX線透過像が認められ紹介により当科に来院した. 術前検査で血清トランスアミナーゼが高値を示し, International Autoimmune Hepatitis Groupの国際診断基準でスコアが18点だったので自己免疫性肝炎と診断された.
AIHの治療には, プレドニゾロンが効果的であった. 下顎骨嚢胞摘出術を全身麻酔下で施行したが, 肝機能障害はなかった.
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© 日本有病者歯科医療学会
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