有病者歯科医療
Online ISSN : 1884-667X
Print ISSN : 0918-8150
ISSN-L : 0918-8150
抗凝固療法患者における口腔外科手術管理の検討
ワーファリン®からヘパリン®へ変更して管理した3例について
監物 真桑澤 隆補扇内 洋介片岡 利之佐々木 亮扇内 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 15 巻 2 号 p. 109-115

詳細
抄録
今回われわれは, 抗凝固薬を内服している患者の上顎洞根治術, 下顎骨腐骨除去術および下顎骨骨折観血的整復固定術の周術期抗凝固療法を, PT, APHTTを指標にワーファリンカリウム (ワーファリン) からヘパリンナトリウム (ヘパリン®) に変更して管理した3例について報告する. 当科では以下のようなプロトコールでワーファリン®からヘパリン®への変更を行っている. 手術3~4日前にワーファリン®の内服を中止し, ヘパリン®2,000~3,000単位静注後, 10,000~15,000単位/day持続静注し, APTTが対象の1.5~2.5倍になるように調整する. 手術当日, 執刀3~4時間前に中止し手術を行い, 術後, 止血確認ができたらヘパリン®の投与を開始し, PT-INRが1.5~2.5倍になったら中止し, ワーファリン®は経口摂取可能になったら開始する. ヘパリン®は患者により感受性が異なり, 投与による異常出血や血小板減少症が知られているが, そのような合併症や血栓症の合併も認めず良好に経過し, 周術期にワーファリン®からヘパリン®に変更し施術を行えば安全であると考えられた.
著者関連情報
© 日本有病者歯科医療学会
前の記事
feedback
Top