抄録
今回我々は当科において全身管理下に観血的処置が実施された, 抗血栓薬服用患者69名について調査・検討を行った. 抗血栓薬を休薬した症例 (休薬群) は38例 (55.1%) であり, すべてが内科主治医による指示であった. 服用継続下にて処置を行った症例は31例 (44.9%) であり, 内26例 (83.9%) が麻酔科医と術者の指示で, 5例 (16.1%) が内科主治医による指示であった. 術後の止血に苦慮した症例は休薬群の3例 (4.3%) であったが, いずれの症例においても24時間以内に止血が確認されており, その他, 不快症状を呈した症例は認められなかった.
内科主治医への対診は必須であるが, 指示に従うだけでなく, 歯科医師側でも術前検査ならびに処置内容から十分な検討を行い, 抗血栓薬の休薬が必要な場合は, 血栓予防を考慮した周術期管理が肝要である.