抄録
国立療養所27施設において1987年8月現在までに経験した18才以下の末期腎不全患者118例についてアンケート調査を行つた. 原疾患は一次性糸球体疾患62例, 二次性糸球体疾患11例, 先天性腎尿路奇形19例, アルポート症候群10例, 慢性腎盂腎炎8例, その他7例で, 6~9才での発症・発見が37例と多く, 集団検尿による発見は約30%であつた. 導入方法はHD71例, IPD 28例, CAPD 15例で, 近年CAPDが急増の傾向にある. 36例が腎移植(生体腎32例, 死体腎3例)に移行し, 22例で生着しており, 61例が透析で生存, 17例が死亡, 16例が転帰不明であり, 生存率は1年91.6%, 3年81.6%, 5年78.8%である. 合併症として貧血(78.7%), 高血圧(28.7%), 骨障害(25.5%)が多い. 死亡原因として, 脳出血(7例)が最も多く, ループス腎炎例での死亡率が高かつた. 早期発見, 診断, 治療管理上の問題点の考察を行つた.