抄録
骨髄異形成症候群 (MDS) は前白血病症状と難治性貧血を示す後天的造血障害である. 外科処置に際しては出血傾向, 易感染性などが問題となり, 慎重な対応が必要となる. 今回われわれは口腔外科処置後に全身状態が悪化した骨髄異形成症候群の2例を経験したので報告する. 血液内科併診のもと入院下にて, 消炎処置および外科処置を行った. ともに術後より感染症状を呈し血小板減少に加え, 好中球の減少, CRPの上昇, さらに抗菌薬の多剤耐性を認めた. 数種の抗菌薬と血小板投与に加え, さらに顆粒球コロニー刺激因子製剤の投与により症状は改善した. MDS患者において, 術前から感染予防に努めたにもかかわらず術後感染した場合には急速に増悪する. そのため血液内科医との連携による全身管理が極めて重要である.