有病者歯科医療
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解離性同一性障害を有する下顎骨骨折患者の治療経験
村上 和宏山本 一彦杉浦 勉李 彌稀大儀 和彦桐田 忠昭
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2007 年 16 巻 2 号 p. 77-83

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抄録
解離性同一性障害は2つまたはそれ以上の異なった独立した人格が代わる代わる行動を統率する精神疾患である. 今回われわれは下顎骨骨折を有する解離性同一性障害患者の治療を経験したので報告する.
患者は27歳, 女性. 24歳時に解離性同一性障害と診断され, 投薬治療をうけていた. 患者は睡眠薬を内服し, 大量に飲酒したのち自宅階段から転落した. 開口障害, 咬合異常がみられたため当科を紹介され来院した. X線写真検査にて両側下顎骨骨体部に骨折を認めた. 当院精神科医に対診し, 医療保護入院下にて顎間固定を2週間, 施行した. 入院後ややうつ傾向にあったが, 精神状態は安定しており, 入院3週後に退院した.
解離性同一性障害を有する患者は本邦でも増加傾向にあり, 同患者が歯科処置や手術目的に来院することもある. その際は精神科専門医と協力体制をとり, 必要な場合, 医療保護入院下にて管理を行うことがよいと思われる.
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