有病者歯科医療
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歯科口腔外科における救急医療科からの紹介患者の臨床的検討
小野沢 基太郎金子 裕之高橋 真和林 恵梨矢野 尚阿部 廣幸
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2008 年 17 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
救急医療施設より, 歯科的な精査や歯科治療のために依頼された患者における, 臨床的検討の報告はごくわずかである. そこで今回われわれは, 2000年1月から2005年12月までの6年間における救急医療科から口腔疾患に対し, 東京女子医科大学東医療センター歯科口腔外科に精査・加療目的に紹介された患者125名を対象に臨床的検討を行った. 男性が82名 (65.6%), 女性が43名 (34.4%) でその年齢は1歳から89歳, 平均年齢40.2±19歳で, 20歳代が最も多かった. 口腔顔面疾患に関しては, 顎顔面外傷85名 (68%), う蝕・歯周疾患22名 (17.6%), また義歯関係4名 (3.2%) であった. 治療では顎顔面骨折観血的整復固定術を23名 (18.4%) に, 抜歯を18名 (14.4%) に, う蝕処置を10名 (8%) に施行し, 37名 (29.6%) は精査のみであった. 全身合併症に関しては, 多発外傷を87名 (69.6%) に, 中枢神経系救急疾患を13名 (10.4%) に, また重症救急病態を7名 (5.6%) に認めた. 呼吸器系救急疾患と消化器系救急疾患がそれぞれ6名 (4.8%) であった. 救急医療施設には口腔疾患を伴った多くの重症患者が存在するため, 救急医療に歯科医師の参加は必要であると思われる.
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© 日本有病者歯科医療学会
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