有病者歯科医療
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2型糖尿病患者の唾液分泌について
アンケートによる口腔乾燥感と唾液分泌量との関係
原 ケイ子
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2008 年 17 巻 2 号 p. 75-83

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抄録
2型糖尿病で教育入院中の患者122名 (男性57名, 女性65名) を対象に, アンケートによる口腔乾燥感とガムテストによる唾液分泌量との関係について検討した. その結果, 口腔乾燥感はあるとした者は53.3%で, ないとした者とほぼ同じであった. また, 唾液分泌量は口腔乾燥感の有無にかかわらず低下している者が正常域の者にくらべ著しく多く, 82.2%に達していた. また, 唾液分泌量の低下している者は, 口腔乾燥感はないとした者 (84.2%) と口腔乾燥感はあるとした者 (81.5%) とは, ほぼ同じであった. 以上のことから, 唾液分泌量と口腔乾燥感の有無との関連性は認められなかった.
唾液分泌に関与する因子の中で男女別, 年代別, 糖尿病治療法別, 合併症別 (糖尿病網膜症, 糖尿病腎症, 動脈硬化性疾患の異常所見の有無) についても検討した. その結果はどの検討項目についても口腔乾燥感の有無にかかわらず唾液分泌量は低下している者が正常域の者にくらべ多かった. 特に高齢層女性, インスリン療法者, 糖尿病網膜症や糖尿病腎症では, 口腔乾燥感はないとしているにもかかわらず唾液分泌量の低下している者が高率であった.
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