抄録
1986年7月より1990年6月までの4年間に当科外来を訪れた7,988名についてretrospectiveに調査し次の結果を得た。
1) 神経・筋疾患を有した患者は111名で調査期間の外来新患数の1.4%であった。3例 (てんかん2例, パーキンソン症候群1例) で, 顎骨の骨折などの外傷がみられ, これら神経・筋に障害を持つ疾患では外傷が発生しやすいことが推察された。
2) 妊産婦は27名で外来新患の0.3%であった。来院時の妊娠時期は5から7カ月が14例と過半数を占める反面, 8カ月以上になって来科する患者も多くみられた。有病者全体と比べ直接当科に来院する患者が多かった。歯周組織炎や歯冠周囲炎で来科した症例の割合が高かった。
3) 薬剤などにアレルギーなどの異常の既往を有する患者が258名と多く, 調査期間の外来新患の3.2%であった。アレルギーの原因薬剤としては抗菌剤が最も多く, ついで非ステロイド系消炎鎮痛剤であった。当科処置後アレルギー様の異常を発現した5例は, 他の薬剤に対するアレルギーの既往を有しており, アレルギーを起こしやすい体質があることが推察された。
4) 膠源病やその類似疾患を含めた自己免疫疾患は49例あり外来患者の0.6%であった。うち27例はステロイドなどの免疫抑制剤が投与されていた。この49例中10例に易感染性, 治癒不全傾向が認められた。
5) 麻酔時のトラブルの既往は15例で外来新患数の0.2%であった。30~50歳代の女性が11例とほとんどをしめ, この年代に麻酔時のトラブルがおきやすいと思われた。