有病者歯科医療
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有病者歯科治療の実態に関する検討
第1報 統計的観察
藤原 寿彦白川 正順坂井 陳作岩本 正生小笠原 健文野村 健宮原 康郎神田 禎則阿多 史雄五百蔵 一男阿部 郷古屋 英毅
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1996 年 4 巻 2 号 p. 59-64

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抄録
高齢化社会が本格化した昨今, ますます有病者の歯科受診が日常化しようとしている。
今回筆者らは, 1988年1月から1993年12月までの6年間に町田市民病院口腔外科を受診した初診患者13455例のうち全身疾患を有し現在内科をはじめ他科で加療を受けている有病者2209例について, 臨床統計的観察を行い, 若干の知見を得たので考察を加え報告する。
性別では男性1025例, 女性1184例, 年代別では60歳代521例 (23.6%) と最も多く, 次いで50歳代499例 (22.6%), 70歳代351例 (15.9%) であった。
全身疾患別では, 循環器疾患が圧倒的に多く1469例 (58.0%) で, そのうち高血圧症が862例 (58.7%) と過半数を占めた。次いで代謝疾患393例 (15.5%), 消化器疾患324例 (12.8%), 呼吸器疾患103例 (4.1%) などの順であった。
また処置内容では, 観血処置が1245例 (53.6%) と過半数を占め, なかでも抜歯が947例 (76.1%) と多数を占め, 保存, 補綴処置は157例 (14.6%) であった。
観血的処置例では術中なんらかの麻酔管理を必要とした患者は738例 (31.8%) で, 笑気吸入鎮静法が388例 (52.6%) と過半数を占めた。
本報告は他報告に比較して有病者率が低かった。その理由は対象とする患者が現在全身疾患を有し加療中のものに限定し, 過去に有病歴をもっていても現在加療を受けていないものについては除外したためと思われた。
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© 日本有病者歯科医療学会
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