抄録
高血圧症や狭心症の治療薬で広く臨床応用されているCa拮抗剤であるニフェジピンの長期服用による歯肉増殖症の3例を経験した。
症例1・2ではTBI・除石および薬剤変更により治癒した。症例3ではTBI・除石および薬剤変更を行うも症状の顕著な変化がみられなかった。そのため, 歯肉切除術および抜歯を行い早期の補綴処置に努めた。その結果症状の改善がみられた。
本研究よりニフェジピンによる歯肉増殖症の治療法としては, まずブラッシング指導・除石および薬剤変更を行う。また, 保存治療で症状が改善しない場合や歯肉増殖が著しくプラークコントロールが形態的に困難である場合には歯肉切除や保存不可能と考えられた歯の抜歯等の外科処置も併用する。さらに, 早期に補綴処置を行う方が口腔衛生および咀嚼回復上好結果をもたらされると考えられた。