有病者歯科医療
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抗生物質投与により発症したと思われる出血性大腸炎の1例
飯田 啓介竹本 隆石原 朗金子 道生吉田 憲司深谷 昌彦
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1996 年 5 巻 1 号 p. 62-65

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抄録
薬剤起因性の出血性大腸炎は, 薬剤投与後数日で突発する腹部疝痛, 激しい下痢, 血便などを主症状とする医原性疾患である。
今回著者らは, 抗生物質投与後に出血性大腸炎と思われた1例を経験したので報告する。
患者は, 36歳の女性で, 埋伏智歯抜歯術を施行した。術後, 感染予防を目的にaspoxicillinを投与したところ, 術後4日目に激しい下腹部痛および血性茶褐色水様便が15回みられ, 術後5日目には同様の便が31回みられた。同日に行った糞便の細菌検査では, Clostridium difficile D-1抗原は陰性であった。抗生物質の中止, 絶食, 輸液を行い, 術後11日目には回復した。以上の所見より薬剤に起因した出血性大腸炎と思われた。
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© 日本有病者歯科医療学会
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