1997 年 6 巻 1 号 p. 21-26
大阪大学歯学部附属病院リスク患者総合診療室で管理を行った絞扼反射が強い患者37人について検討を行った。絞扼反射の程度を染矢の分類に従って, 軽症, 中等度, 重症の3つに分類し, 歯科治療時の管理方法と絞扼反射の有無を調べた。軽症2例, 中等度61例, 重症56例, 計119症例の管理を行った。管理内容は, (1) 笑気吸入鎮静法, (2) ジアゼバムまたはミダゾラムによる静脈内鎮静法, (3) 笑気吸入・ミダゾラム静脈内投与併用による鎮静法, (4) 笑気吸入・モルヒネ静脈内投与併用による鎮静法, (5) 笑気吸入・ジアゼパム・モルヒネ静脈内投与併用による鎮静法, (6) 全身麻酔の6種類であった。
軽症2例はいずれも笑気吸入鎮静法で歯科治療が可能であった。中等度の症例では, 笑気吸入が最も多く61例中30例 (49%), ジアゼパムまたはミダゾラムの静脈内鎮静法が16例 (26%), 笑気・ミダゾラム併用が2例 (3%), 笑気・モルヒネ併用が10例 (16%) であった。また笑気・ジアゼバム・モルヒネ併用によっても歯科治療が不可能なために全身麻酔を行った症例が1例あり, 笑気・モルヒネ併用で治療は可能であったが, 患者が多数歯の集中的治療を希望したため全身麻酔を行った症例が1例あった。重症の症例はジアゼパムまたはミダゾラムによるものが最も多く56例中32例 (57%) で, 次に笑気が12例 (21%), 笑気・モルヒネ併用が11例 (20%) であった。笑気・モルヒネ併用のうち1例は治療不可能なために全身麻酔によっておこなった。