医療機器学
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原  著
音響式呼気二酸化炭素計の開発
景山 晃佑末廣 輝男窪田 健雄菊池 喜博
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2023 年 93 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

呼吸器リハビリテーション用のデバイスでは,動脈血の二酸化炭素の濃度は呼気値から推定される.我々は呼気中の二酸化炭素分圧が,伝播する音波の速度を遅らせる効果に鑑み音響式の呼気二酸化炭素計を開発した.この論文は我々の知る限り呼気中の音響速度の測定に基づく最初のオリジナルな方法である.したがって二酸化炭素識別用のどんなセンサも省略できる.この方法は呼気二酸化炭素計が極めて安価に作られ,リハビリテーションの目的で広く用いられる可能性がある.

デバイスは円筒形の小さなサンプル用空洞があり,超音波発・受信システム,音速決定のための電子回路ならびにデータ処理用のマイクロプロセッサーからなる.このシステムを確かめるべく12 名の肺疾患の患者を集め,終末呼気の二酸化炭素分圧のデバイス値を動脈血ガス分析装置の値と比較すると,結果は関心領域(40 -60 トル)で直線相関を示した.したがって動脈血の二酸化炭素濃度は呼気中の音速の測定値から推定できることが分かった.

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© 2023 日本医療機器学会
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