2023 年 93 巻 5 号 p. 594-603
本研究の目的は,医療従事者へのアンケートと面接により,採血支援機器の可能性,課題,将来の方向性を調査することである.筆者らは,日本の病院の医療従事者95名に,臨床的課題をどのようにとらえているかについてアンケートした.さらに,許可を得た7名に面接調査をおこなった.面接では,2機器の可能性と問題点,および自動採血システムの将来について質問した.アンケート調査に基づいてカテゴリ分析し,面接対象者の位置を特定した.面接した7名中6名は,静脈可視化装置には可能性があるとした.電子止血帯は必要ないという者もいたが,役に立つとした者もいた.4名は,自動採血システムに期待している.2名は,採血作業では,完全な自動化ではなく,人間の関与が必要だと述べた.採血支援機器には潜在的需要があることを示している.方向性としては,全自動採血システムを目指すのではなく,医療従事者の関与の余地を残すことを考慮すべきである.