日本医真菌学会雑誌
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原著
Candida 属菌種のアゾール系薬感受性試験における現行の日本医真菌学会法, およびその改変法とNCCLS M27-A2法との相関性に関する検討
内田 勝久西山 彌生山口 英世
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2006 年 47 巻 3 号 p. 209-217

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抄録

酵母のアゾール系薬感受性測定に関して, 現行の日本医真菌学会法 (JSMM現行法) の有用性を検討するために, 本法によって得られる成績がNCCLS M27-A2ミクロ法 (M27-A2法) の成績とどの程度一致するかを最近収集されたCandida spp. 臨床分離株946株を用いて比較検討した. C. albicans およびC. tropicalis に対するfluconazole (FLCZ) のMICは, それぞれ25.3および72.5%の菌株で一致せず, この傾向はトレーリング発育株でとくに顕著であった. JSMM法の終末判定基準を現行のIC80からIC50へ変更したJSMM改変法を用いてM27-A2法と比較した結果, 両菌種の不一致率はそれぞれ11.2および30.8%と大幅に減少した. さらにNCCLS M27-Aガイドラインに提示されているMICブレークポイントの基準を適用してFLCZとitraconazoleに対する「耐性」株の頻度を比較したところ, すべての主要Candida 属菌種においてJSMM改変法のほうが現行法よりもM27-A2法とよく一致した. 以上の成績から, JSMM現行法によるアゾール系薬感受性測定はCandida spp. のトレーリング発育株など少なからぬ菌株について誤った成績を与えること, またこの問題の改善には終末点判定基準の改変が有用であることが示された.

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© 2006 日本医真菌学会
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