日本医真菌学会雑誌
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原著
ミカファンギン(MCFG)の感受性測定法に関する検討
阿部 美知子小川 善資田沼 弘之山崎 敏和久米 光
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2008 年 49 巻 2 号 p. 111-118

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抄録

ミカファンギン(MCFG)の感受性測定法について画一された規定がないためカンジダ(48株)とアスペルギルス(13株)を対象に,とくに判定方法について検討した.測定法はNational Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)および日本医真菌学会提案法(Japanese Society for Medical Mycology:JSMM)の2法に準じ,最小発育阻止濃度(MIC)の判定は,2法とも目視判定と吸光度測定を行い比較した.MIC判定の終末点に関して,カンジダはNCCLS法の目視判定はスコア2,その他は80%発育阻止(IC80)とした.アスペルギルスはNCCLS法の目視判定はマイクロプレート内の菌塊から菌糸発育を認めないものと新規に設定し,吸光度測定はIC80および50%発育阻止(IC50)の2者を比較した.JSMM法の目視判定は指示薬が青色のもの,吸光度測定はIC80とした.カンジダに対するMCFGのMICは上記2測定法で≦0.0039~1μg/mlと一致した成績を示した.アスペルギルスに対するMICは,NCCLS法の今回設定の目視判定で0.0078~0.0313μg/ml,吸光度測定で終末点をIC80とした場合は>4μg/ml,IC50の場合は目視成績と一致した.JSMM法は両判定法とも≦0.0039~0.0156μg/mlであった.したがって,カンジダに対するMIC測定はいずれの方法でもよいが,アスペルギルスに対するMIC測定はJSMM法か,NCCLS法の場合はIC50を終末点とする吸光度測定または今回設定の目視判定が推奨される.

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© 2008 日本医真菌学会
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