日本医真菌学会雑誌
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教育委員会医真菌学講座
造血幹細胞移植時の真菌感染症対策
神田 善伸
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2008 年 49 巻 4 号 p. 323-328

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抄録
造血幹細胞移植後の患者は高度に免疫が抑制された状態にあり,様々な感染症に罹患する危険が高い.このような患者の感染症対策を考える上で重要なことは,その患者がどのような危険因子を有していて,どのような免疫状態にあり,どのような病原微生物による感染症を発症しやすいかを常に把握しておくことである.そして,早期診断のために必要な検査を行い,実際の抗真菌薬の投与においては予防的投与,経験的投与,推定治療,標的治療などを使い分ける必要がある.近年になり,日本国内にも欧米に匹敵する数の抗真菌薬が導入されたが,その選択においては有効性と毒性のバランスを考えなくてはならない.本稿は造血幹細胞移植患者を対象として記述されているが,免疫抑制状態を把握しながら感染症の対策を考えていくアプローチは全ての診療領域に共通するものであろう.
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© 2008 日本医真菌学会
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