日本医真菌学会雑誌
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原著
最近5年間に一診療所で経験された頭部白癬の集計
國武 裕子野口 博光比留間 政太郎
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2009 年 50 巻 3 号 p. 161-166

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抄録
最近5年間(2004年4月~2008年12月)に熊本県の一診療所で経験された頭部白癬12症例について検討した.12例中11例は2歳から18歳の男児で,成人例は50歳女性の1例であった.また,菌種はMicrosporum canis が6例,Trichophyton tonsurans が6例であった.M. canis の6例中5例は2歳から8歳,男児であった.病型は非炎症型が5例,炎症型が1例であった.一方,T. tonsurans の6例は12歳から18歳の男児で,5例は柔道部員であった.病型は炎症型が2例で,black dot型が4例であった.M. canis の症例は3例にイトラコナゾール(ITCZ)2.4~4.0mg/kg/日,3例に塩酸テルビナフィン(TBF)2.6~4.6mg/kg/日の内服を行い,その治療期間はITCZが8~14週間,TBFが4~8週間であった.一方,T. tonsurans の6例はTBF1.4~2.4mg/kg/日の内服を行い,治療期間は8~12週間であった.このうちM. canis の非炎症型(症例6)とT. tonsurans による炎症型(症例10)については,日本における推奨投与量で治療を開始したが症状が改善せず,欧米のガイドラインに準じて,投与量を2倍にして治癒に至った.頭部白癬の治療は難治であり,今後,本邦においてもガイドラインの作成が必要と考えた.
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© 2009 日本医真菌学会
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