真菌と真菌症
Online ISSN : 1884-6971
Print ISSN : 0583-0516
ISSN-L : 0583-0516
空中真菌相に関する研究
松田 良夫
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 13 巻 1 号 p. 1-6_1

詳細
抄録
Cascade Impactor を使用する吸気法で神戸市内の業態別3地域6地点, 環境別5地点および一定点で休祭日を除いて毎日1回, 約1年間にわたつて空中真菌の培養同定を行い354.25m2の空気から29,208コロニーを得た. 同定の結果分離菌の大部分は Deuteromycetes で上位5菌種は Penicillium, Aspergillus, Cladosporium, Alternaria, Fusarium の順であつた, コロニー数の月別変動は6月から増加し7, 8, 9月と8月にピークを示す山をえがき, Moldseason は夏季に一致する. 粒径別検出率は全コロニー数の69%は粒径22μ~2.3μにおいて捕集された.
神戸市における空中真菌相を諸外国の報告と比較すると一般に Cladosporium が少なく, Penicillium, Aspergillus が多い特徴を示す.
採集操作と同時に調査測定した気象諸因子ならびに大気汚染因子との関連を追及し, その結果, 大気中から検出される真菌コロニー数は天候, 気温, 湿度, 風速などの気象因子および大気汚染因子と密接な関係があることを明らかにした.
著者関連情報
© 日本医真菌学会
次の記事
feedback
Top