日本医真菌学会雑誌
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Candida呼吸器感染症例における喀痰中のCandida量, 分泌型 IgA および Lysozyme について
友田 恒典高井 晶子
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1991 年 32 巻 3 号 p. 209-214

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抄録

日和見感染症としての Candida 呼吸器感染症の病態を知るため二三の呼吸器疾患について喀痰中のCandida量をしらべ, 同時に喀痰中の分泌型 IgA (SlgA) およびlysozymeの測定を行った.喀痰中のCandida量が喀痰1gあたり103~108を認めた呼吸器疾患の症例 (肺癌, 気管支炎, 肺結核) の中, Candida呼吸器感染症合併例は肺癌症例に多かった.
喀痰中のSlgA, lysozymeの低値例には喀痰中のCandida量が多く, Candida呼吸器感染症合併例も多かった.反対に喀痰中のSlgA, lysozymeの高値例に喀痰中のCandidaの多いものは少なく, Candida 呼吸器感染症合併例も少なかった.とくにCandida呼吸器感染症合併例と非合併例をくらべた場合, 非合併症例のlysozymeは合併例のそれより有意に高値であった.また試験管内実験においてもlysozymeによってCandidaの発育が抑制された.Lysozymeの細菌に対する発育抑制に関する報告はあるが, 本報告ではlysozymeが気道や肺におけるCandidaの発育抑制にも関与していることを臨床的, 実験的に認めた.

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