1993 年 34 巻 3 号 p. 351-355
左右鼻根部から頬部にかけて八の字形に分布する, 境界明瞭な不整形肉芽腫性びらん局面を呈した85歳, 女性のスポロトリコーシス例を報告した. 外傷やステロイド等の外用の既往はなく, 自家接種により特異な皮疹を呈したものと考えられた. 病理組織学的にPAS及びGrocott染色では明らかな真菌要素は認められなかったが, ファンギフローラY蛍光染色を施行したところ, 速やかに真菌要素を見出すことができた. ファンギフローラY蛍光染色は各真菌に対する特異性は認められないが, 染色時間も短く, 手技も簡単で, PASやGrocott染色に比べて共染するものが少なく, 短時間で組織中の真菌要素が見出し得る点で有用と思われた.