日本医真菌学会雑誌
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札幌市の一診療所における10年間の白癬菌相
芝木 秀臣
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キーワード: 白癬, 白癬菌相, 札幌市
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1994 年 35 巻 1 号 p. 33-43

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抄録

1982年から1991年までの10年間に来院した白癬患者の統計的観察を行った.
1) 白癬患者総数は4,695名で総新患数の7.1%であった.男女比は3:2で,年齢別では30才代がもっとも多かった.
2) 白癬症例5,580例中,足白癬は64.0%,爪白癬14.2%,股部白癬10.4%,体部白癬8.2%,手白癬2.8%,頭部白癬0.3%,ケルスス禿瘡2例,白癬性毛瘡1例で,年次別では,足白癬は増加,股部,体部白癬は減少傾向にあった.
3) 二つ以上の病型を合併した患者は,全白癬症例の30.7%で,爪白癬患者の81.4%,手白癬の69.2%が足白癬を合併していた.
4) 10年間に分離した白癬菌数は3,669株で,内訳はTrichophyton rubrum (TR) 67.8%, T. mentagrophytes (TM) 26.5%, Microsporum canis (MC) 3.9%, Epidermophyton floccosum (EF) 1.6%, M. gypseum 0.1%, T. violaceum 0.1%であった.培養陽性率は65.8%であった.
5) 足白癬から分離した白癬菌中,TRは63.5%,手白癬からは78.3%,爪白癬は80.5%,股部白癬は86.9%であった.
6) MCの分離頻度は年次による変動が大きい.なお,足白癬から8株,手白癬から1株分離した.
7) 全分離株のTR/TMは2.6,足白癬だけでは1.8で,北海道内の大学,一般診療病院より高かった.

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