日本医真菌学会雑誌
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自然環境中のクリプトコックス-その分離と生理的性質-
戸矢崎 紀紘
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1994 年 35 巻 4 号 p. 393-401

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抄録

神戸市内で採集した鳩,ツバメ,家コウモリ糞26試料からCryptococcus neoformansとその他の真菌を分離・同定した.C.neoformansは鳩糞13試料とまだ分離記録のなかった家コウモリ糞から分離された.C.neoformansを簡便,迅速,正確に同定する方法として,まず分離にBirdseed培地を用いることで推定・同定までの時間が短縮でき,次にO-phenol oxidase試験で確認することがよいものと考えられた.環境に著しい抵抗性を示すC.neoformansの生理学的性状と,紫外線,殺菌消毒剤の効果を検討した.生育温度は6~37℃,最適生育温度は25℃であり,43.5℃では91.7%が72時間以内に死滅,湿熱では55℃,1分以内に死滅した.紫外線による殺菌は波長253.7nmでも60分を要した.一般的な殺菌消毒剤には強い感受性を示したが,グルコン酸クロルヘキシジンの通常使用濃度である0.02~0.5%液では60分間作用後も全く効果はなかった.

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