1996 年 37 巻 3 号 p. 161-166
アゾール系抗真菌剤であるイトラコナゾール(ITCZ)のマウスマクロファージ細胞膜に及ぼす作用について検討した.C3H/HeJマウスの誘導腹腔マクロファージをITCZ存在下で20時間培養し,0.0375%のデオキシコール酸(DOC)で処理した.その後トリパンブルーで染色し,その染色率を膜のDOC感受性の指標として用いた.ITCZ 0.5μg/ml以上の濃度で37℃の培養によりDOC感受性が上昇し,この感受性の変化は早期の2時間後からみられた.また4℃で培養するとDOC感受性は上昇しなかった.この作用は,ITCZ及びその代謝産物であるハイドロキシイトラコナゾールにおいて特に強く,他のアゾール系抗真菌剤では弱かった.また腸球菌製剤FK-23存在下でITCZとともに培養した場合には,DOC処理なしでもマクロファージのトリパンブルー染色性が上昇し,細胞膜の性質を変化させることが示唆された.以上のマクロファージに及ぼすITCZの作用が,ITCZの免疫調節作用とどのように関係しているかを考察した.