日本医真菌学会雑誌
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カンジダ性毛瘡の1例
服部 綾子飯田 利博山口 全一西山 千秋
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2001 年 42 巻 2 号 p. 87-90

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抄録

71歳,男性のカンジダ性毛瘡の1例を報告した.気管支喘息のため長期間,エリスロマイシンの内服を行っていたが,重積発作のため当院内科にてステロイドパルス療法を受けた.その約10日後,人中部を中心に,両鼻孔から上口唇にかけて浸潤性隆起性潮紅局面が出現し,局面内に多数の毛孔一致性小膿疱が混在して認められた.両第I,II趾の爪甲全体に白濁,不整が見られた.KOH法にて髭と爪から菌要素を検出.人中部からの病理組織所見は主に毛包周囲の好中球,リンパ球,組織球よりなる炎症性細胞浸潤像であった.髭,爪の培養よりCandida albicansが分離された.フルコナゾール1日100mgの内服で顔面の病変は50日後にはほぼ常色となった.近年ステロイド,抗生物質の汎用のため本症報告例も増加の傾向にあり,自験例もステロイドの大量使用により誘発されたと考えられた.

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