2002 年 43 巻 1 号 p. 21-27
千葉県の中部, 東京湾沿いにある君津中央病院皮膚科の1994年から1999年までの6年間の白癬菌相を報告した.白癬の総症例数は2,580例で, 病型別では足白癬が1,656例 (64.2%) と最も多く, 次いで爪白癬377例 (14.6%), 体部白癬308例 (11.9%), 股部白癬139例 (5.4%), 手白癬92例 (3.6%), 頭部白癬6例 (0.2%), 深在性白癬2例 (0.1%) の順であった.分離白癬菌株数は1,610株でTrichophyt nrubrumが929株 (57.7%) と最も多く, 次いでT.mentagrophytesが651株 (40.4%), 他にMicrosporumgypseum9株, M.canis8株, Epidermophyton floccosum8株, T.violaceum5株の6菌種であった.T.R/T.M比は白癬全体で1.43, 足白癬で0.81で全国平均よりかなり低く, T.mentagrophytes優位が特徴的であった.これは足白癬において夏期にT.mentagrophytesの分離が圧倒的に多くなることに起因していた.