日本医真菌学会雑誌
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頸髄損傷患者に生じ巨大な局面を形成した原発性膿皮症様アスペルギルス症の一例
吉田 亜希佐藤 俊樹赤坂 俊英
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2002 年 43 巻 1 号 p. 5-9

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抄録
65歳, 男性.泥酔状態での転倒による頸髄損傷患者.四肢麻痺, 低酸素血症のためレスピレーター管理を行っていた.仰臥位の体位で2週間経過した頃より背部に皮疹が出現したため2000年2月4日に当科紹介受診した.初診時, 背部全体に潰瘍, 壊死, 膿庖を伴う巨大な浸潤性紅斑局面を認めた.鏡検で末端がY字状に分岐し隔壁を有する太い菌糸を認め, 培養でA.fumigatusを分離.病理組織では真皮全層に好中球, 好酸球を混じる細胞浸潤をみとめ, PASおよびグロコット染色で, 真皮浅層で帯状に, 中深層では放射状に菌糸の伸長がみられた.コロニーの走査電顕でとっくり型をしたフィアライドから金平糖様の凹凸を有する分生子が産出される像がみられた.治療はビフォナゾール (マイコスポールクリーム (11)), スルファジアジン銀 (ゲーベンクリーム (13)) の外用とデブリドマンを行い, 約1ヶ月後, 鏡検および培養のいずれからもアスペルギルスは陰性となった.しかし, 全身状態が改善せず2ヶ月後死亡した。
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