抄録
ミトコンドリアのシトクロームオキシダーゼ I遺伝子ならびに16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列を基に、日本産Heterorhabditis属線虫とPhotorhabdus属細菌の系統解析を行った。日本産H. megidis3分離株はヨーロッパ産のH. megidisとクラスターを形成し、それら3分離株から単離した共生細菌はP. temperataとクラスターを形成した。日本産H. indica6分離株はインド産のH. indicaとクラスターを形成し、6分離株中4分離株の線虫から単離した細菌はP. luminescens subsp. akhurstiiとクラスターを形成した。しかし、残りの2分離株から単離した共生細菌は臨床病原体であるP. asymbiotica subsp. australisとクラスターを形成した。以上のことから、H. indica分離株には、P. asymbioticaと共生関係をもつものが存在することが明らかになった。