国内圃場でのテンサイシストセンチュウ(Heterodera schachtii)(以下Hs)の発生が、2017年に初めて確認された。農薬を用いた緊急防除後の営農再開では、土壌中の線虫再発を注視する必要がある。本研究では、広い圃場から多数の土壌サンプルを採集することを念頭に置き、HsのDNAを迅速に検出する方法を開発し、その実用性について検討した。土壌サンプル10 gからリン酸バッファー法でDNAを直接抽出し、Hs種特異的プライマーを用いてリアルタイムPCR法による検出を行った。検出限界について検討した結果、第2期幼虫では1頭、シストでは10個という結果を得た。汚染圃場土壌141サンプルを用いて、リアルタイムPCRのCq値と孵化した第2期幼虫数との間に有意な相関を見出した。