抄録
線虫の微細形態観察のための簡易で便利なマウント方法、線虫の取り扱い方法を紹介する。カバーグラスの形状に応じてスライドグラスの3ないし4か所にシリコングリースを置き、これで線虫を支えるようにマウントし、液層の厚さを線虫の体幅と同程度に調整する。このようにマウントした線虫は、カバーグラスをずらすように動かすとそれにつれて回転し、つぶれることがないので、同一個体で容易に左右背腹全方向からの観察を行うことができる。また、この状態から力を加えて線虫を押しつぶし、口腔を反転させて観察すれば、歯の数や形状など口器の複雑な形状が容易に観察できる。培養線虫の体表面に付着するバクテリアを除去するためには、界面活性剤(0.1~0.5%のTween 20、もしくはTween 80)で線虫を洗浄するとよい。