抄録
サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫の感染性を評価するための高感度で迅速な方法を報告する。植物培養用瓶内
で実生苗を生育させるための基質を比較したところ、根の生育程度と染色前の土壌の除去の容易さから、小さな粒状
培養土が最適であった。宿主植物として6種の植物を比較したところ、根の生育程度からホウセンカまたはキュウリ
が宿主として適していた。粒状培養土の入った培養瓶で生育した1週齢のホウセンカまたはキュウリ実生苗に20 頭の
線虫を接種し、1週間後に根内の線虫を酸性フクシン法によって染色した。いずれの実生苗においても、接種後の日
数とともに感染線虫数は増加し、接種7日後に頭打ちとなった。本法の有効性を確認するため、1週齢のホウセンカ
実生苗にフォスチアゼート処理した2期幼虫をフォスチアゼート存在下で接種したところ、濃度依存的な感染抑制が
認められた。この方法により、少数の接種頭数でのアッセイや、は種後2週間で感染実験を完了することが可能である。