日本線虫学会誌
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研究資料
日本産タバコシストセンチュウの亜種判別
坂田 至酒井 啓充串田 篤彦
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2021 年 51 巻 2 号 p. 37-40

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抄録

日本においては、タバコシストセンチュウは1998年に一度だけ発生しており、ナス栽培温室1棟で検出されたのみである。本種については、Globodera tabacum tabacumG. tabacum solanacearumG. tabacum virginiaeの3亜種が存在するが、上記日本産個体群(以下、Gt-j)の亜種については未同定のままであった。そこで本研究では、ペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子の塩基配列における亜種間差およびCLE ペプチドをコードする遺伝子のPCR-RFLP法によって、Gt-jの亜種判別を試みた。2つのCLEペプチド遺伝子(Cle1およびCle5)のPCR-RFLP法の結果、Gt-jの断片パターンはG. tabacum tabacumのものと一致した。また、ペクチン酸リアーゼ遺伝子の1つであるPel1遺伝子の部分配列を比較した結果、Gt-jの配列はG. tabacum tabacumの配列と99%以上の相同性を示した。これらの結果から、Gt-jはG. tabacum tabacumであると同定した。

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© 2021 日本線虫学会
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