抄録
土壌型による線虫被害発現の差異を明らかにするため, 径20cmの素焼鉢に, 黒ボク土 (西合志), シラス土 (鶴田), 砂土 (万世) および灰色低地土 (宮崎) のそれぞれ2lをつめ, トマト苗を定植し, サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫を6段階の密度別に接種し, 屋外で40日間栽培管理したのち, トマトの生育量を調査した。トマトの地上部生体重 (果実を含む株当り) の総平均値はシラス土の2849が最も重く, ついで灰色低地土の1579, 黒ボク土の1279および砂土の1229の順であった。線虫無接種区の値も総平均値とほぼ同じ順に少なくなった。また地下部生体重は初期密度水準 (接種頭数) が増すにつれ, 重くなったが, 総生体重に対する割合はシラス土で少なく (20%), その他の土壌では25~27%であった。地上部生体重は黒ボク土と砂土の初期密度水準の低~ 中区でやや増加した。トマト果実重についても同じ傾向が見られ, それ以上の密度水準では減少した。また果実重の総生体重に対する割合にも供試土壌間の差異が見られた。供試土壌の化学的特性とこれらトマトの生育量の差異との関係は明らかにできなかった。