日本線虫研究会誌
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Tomato ringspot virus のXiphinema americanumによる伝搬の様態
岩木 満朗小室 康雄
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1974 年 4 巻 p. 27-31

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抄録

TomRSVのXiphinema amerioanumによる伝搬の様態について,病土と病土から分離したX. americanumを用いて試験した。
病土を用いた試験では,病土を1週間以上風乾したところ,そのウイルス伝搬性がなくなったが,病土を低温保存(4~10℃)した場合のウイルス伝搬性は14か月まで残った。病土と同様に低温保存したペチュニアの罹病葉と罹病葉汁液の病原性はそれぞれ1および0.5か月までしか残らなかった。
つぎに,病土から分離したX. amerioanmnの接種試験では,線虫の成虫と幼虫による,および幼虫の大きさによるウイルス伝搬率に差がみられなかった。また,保毒線虫をつぎつぎに新しい指標植物に移す連続伝搬試験を3日間隔で8回目まで行ない,一部で8回目まで感染が認められた。したがって本線虫はTomRSVを一旦保毒すると新しく病株を吸汁することなしに長い間新植物に同ウイルスを伝搬しうる。
以上の試験はすべてスイセン周辺土壌(畜産試験場)から集めた線虫を用いたが,ブドウ(畜産試験場)やミカン(神奈川園試・根府川分場)周辺土壌から分離したX. americanumによっても同じく高率にTomRSVは伝搬される。

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