抄録
九州地方、沖縄、茨城および福島県から採集したAphelenchus avenae15分離株の遺伝的多様性をPCR-RFLP法およびRAPD法で検索した。RAPD解析のために適当なプライマーを見いだすため、40種類の10rnerプライマーを検討した。そのうちの12プライマーから検出された106のバンドについて解析し、分離株全体で77.5~100%の類似性が得られた。さらに類似性のデンドログラムから15分離株は4群に分けられた。これら15分離株の遺伝的類似性は地理的分布、寄主糸状菌選好性および雄成虫出現頻度とは何ら関連性を示さなかったが、RAPD法はAphelenchus avenaeの種内変異 (生理的特徴) を検索するには有効な方法であることが示唆された。一方、rDNAの5.8SおよびITS領域のPCR産物は15分離株全部が0.9kbを示し、このPCR産物を7個の制限酵素で消化処理したRFLPパターンに種内変異は見られなかった。