日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
原著
腎排泄型薬剤の持参薬に関する多施設実態調査
柴田 啓智門脇 大介下石 和樹浦田 由紀乃森 直樹宮村 重幸
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2012 年 1 巻 3 号 p. 139-144

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抄録

薬剤の適正使用を考える上で、患者毎に適正な用量設定を行うことは重要である。我々は、腎機能低下時に投与量調節が必要な5 つの薬剤(アロプリノール、アマンタジン、シベンゾリン、ジゴキシン、ジソピラミド)に注目し、これらの薬剤が入院時にどの程度適正な投与量設定がなされているかを調査すること、また投与量の再設定が必要な際、薬剤師が処方介入できたかを多施設共同で調査することを目的とした。症例4,596 例中対象薬剤を持参した件数は280 例であった。そのうち、CKD 病期ステージ1 期の症例は10 例であり、7 割がCKD ステージ3 以上に分類された。また、腎機能低下に伴う減量基準に従って解析したところ、過量投与と考えられる症例は、アマンタジン61.5%、アロプリノール19.2%、ジゴキシン43.8%、シベンゾリン46.2% であった。結果として薬剤師の介入によって減量・中止となった症例は全体の32.9% であった。以上の結果より、腎機能低下者に対する投与量の設定およびチェックが不十分であることが示唆された。今後、さらに積極的な関与をするために保険薬局も含めた患者の腎機能データの共有が必要である。

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© 2012 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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