レムデシビル(RDV)は、現在、安全性の懸念から重度腎障害患者への投与が推奨されていない。一方で、いくつかの研究において、透析患者に常用量で適用が可能であることが示されている。
本研究では、投与期間中の重篤な有害事象の発現状況を調査することにより、RDVを常用量で適用可能かどうか評価した。
対象はRDVで加療した164名の透析患者とした。患者背景は、72 [29-97] 歳、男性113名(68.9%)、SARS-CoV-2ワクチン未接種22名(13.4%)であった。対象は2021年5月から2022年11月に入院時に軽度から中等度のCOVID-19に罹患していた。RDVは初日に200mg負荷後、以降は連日100mg投与した(透析日の場合は透析後に投与)。投与期間中の過敏反応および肝機能障害の発現状況を調査した。
投与開始後10日以内にCOVID-19の重症度が悪化した患者はいなかった。過敏反応は12名(7.3%)に認められ、8名は初回投与時であり、1名は皮疹が出現しRDVの投与を中止した。注射部位反応は7名(4.3%)に認められたが、治療中止には至らなかった。肝機能検査で異常が疑われた患者は8名(6.3%)確認されたが、治療の必要はなかった。1名は投与3日目にPT-INRが上昇したためRDVの投与を中止した。
本研究により、透析患者はRDVを標準用量で適用可能であるが、腎機能正常患者と同様に過敏反応や肝機能検査のモニタリングは必要であることが示された。
抄録全体を表示