【背景】ラムシルマブ(ramucirumab: RAM)は、VEGFR-2に対するモノクローナル抗体であり、腫瘍血管新生を阻害する分子標的薬である。RAM投与により蛋白尿が発現・増悪することが知られており、その発症は治療の中断につながる可能性がある。しかし、RAM投与後に尿蛋白定性検査が2+以上増悪する患者のリスク因子に関する報告は少ない。そこで本研究は、RAM投与後に尿蛋白定性検査が2+以上増悪するリスク因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】2015年4月から2022年3月までに昭和大学横浜市北部病院および昭和大学病院でRAMが投与された患者を対象に後方視的解析を行った。RAM初回投与前後の尿蛋白定性検査に基づき、「2+以上増悪群」と「増悪なし/1+増悪群」に分け、単変量解析および多変量ロジスティック回帰分析を実施した。
【結果】解析対象155人のうち34人が「2+以上増悪群」に分類された。多変量解析の結果、説明変数として初回RAM投与前の収縮期血圧140 mmHg以上、前治療としてベバシズマブ(bevacizumab: BV)投与歴あり、およびカルシウム拮抗薬の内服ありを選択したモデル1では、血圧140 mmHg以上(オッズ比3.50、p = 0.006)および BV投与歴あり(オッズ比2.60、p = 0.038)が尿蛋白定性検査2+以上増悪のリスク因子として有意に関連した。また、収縮期血圧が高値であるほど蛋白尿の増悪割合が高かった(p = 0.001)。
【結論】RAM投与後の蛋白尿2+以上増悪のリスク因子として、初回RAM投与前の収縮期血圧高値が示唆された。また、モデル1ではBV投与歴もリスク因子として示唆された。以上より、RAM投与前の血圧管理の重要性や、BV投与歴のある患者に対する注意深いモニタリングの必要性が示唆される。本研究の結果は、リスクの高い患者に対する治療選択の一助となる可能性がある。
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