今回、アドレナリンβ2刺激薬とテオフィリンの併用で低カリウム(K)血症が増悪し、薬剤性のQT延長を合併したギッテルマン症候群(Gitelman syndrome; (GS))の症例を経験した。患者は、20歳代 女性で、感冒症状にてツロブテロール貼付剤、テオフィリン、クラリスロマイシン(CAM)等が処方された。これらの服用後、倦怠感、四肢脱力の症状が出現した。服用を継続し、倦怠感、四肢脱力等の症状が悪化した。その後当院に救急搬送され、低K血症(2.3mEq/L)、QT延長(QTc 0.523sec)にて入院となった。身体所見、血液検査等から低K血症の原因はアドレナリンβ2刺激薬とテオフィリンの併用によって増悪したGSによるものとされた。また、服用歴よりQT延長は薬剤性が疑われ、被疑薬としてCAMが挙げられた。CAMを含めた持参薬を全て中止後、QT延長は改善した。GSの治療について、退院後もK製剤の服用を継続している。低K血症は様々な原因でおこり、QT延長を契機とした重篤な不整脈の原因となりうる。本症例を踏まえて、低K血症患者に対する取り組みも行ったので報告する。